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4月6日(金) 春は、苦味。

もうすっかり葉桜になって、やわらかい若緑になった緑道ですが、

ボリュームのある八重桜は今が盛りです。

さて、この季節は、陽当たりの良い野山に山菜採りの楽しみに愛好家が、繰り出します。

三浦の自宅付近には、蕗の薹や明日葉、土筆などは普通に目にして摘む事が出来ますよ。

待ち兼ねた春にエネルギーが一斉に萌え出しますから、

これは厳しい冬を乗り越えた動物達にとっても、ご馳走なのです。

ところが、植物達も簡単に食べらる訳にいきませんから、大抵は、苦味、エグ味があります。

たらの芽の枝には鋭い棘がビッシリ。それを皮手袋をして従兄弟が摘んできて届けてくれました。

スーパーなどで、売っている親指ほどの芽が綺麗に並んでいるのは栽培物で、

自然の物はずっと力強い新芽でいかにも食べたら元気が出そうです。

それを店で早速、天ぷらにしました。残念ながら、3日間で終了。

代わりに春野菜の山ウドや筍が料理メニューに顔をみせましたので、

是非、春ならではの口福をお楽しみ下さいね。

3月30日(金) 鮮やかな赤色野菜にビックリ!

浜町界隈の桜は、瞬く間に満開になり、早くも散り始め、さながら桜吹雪です。

さて、三浦市特産の赤大根、レディサラダは名前の通り皮はチェリーピンク色で

中は普通の大根と同様です。

ピンクは女性を表し、生食用なので、この名が。

三浦大根に外来種を交配したものと聞いています。

先日、農家さんから分けていただいた青皮紅芯大根は、名前のとおり、

丸みを帯びた小ぶりの青首大根です。

これらを薄切りにして、軽く塩にした後、三杯酢につけると、

中の部分が鮮やかなピンクや赤色に染まります。

初めて作った時はビックリでしたよ。

紫キャベツやレッドオニオンでも同様に作り、お漬物や焼き物に添えたりします。

神港は開店当初から化調や添加物は使っていませんが、

紅花紅芯大根は真っ赤という感じで、さすが中国から輸入された品種と感心してしまいました。

赤、紫、緑、黄色、白、黄緑と野菜も色が様々、楽しいですね。

3月23日(金) サイタ サイタ サクラガ サイタ

暑さ寒さも彼岸までと言われますが、今年のお彼岸の中日は、

春の嵐と真冬並み寒気で都心も雪や霙が降りました。

そんな中、浜町界隈の桜は、五分咲きで、冷たい雨に打たれていました。

神港では、桜が咲く時期になると、手作りの桜の花びらの付いたガラスのお猪口、

桜の花の絵の小皿や小鉢やデザート皿、そして、煮物の人参が、桜の花に型抜きしたり、

甘酢でピンクになった大根を花びらに型抜きしてお漬物に添えたり。

店の中でも桜の季節を感じていただこうと思っています。

桜の句は色々ありますね。

[明日ありと思う心のあだ桜、夜半に嵐の吹かぬものかは]これは、親鸞聖人。

[木の下に汁も膾も桜かな]松尾芭蕉。

[酒なくて、何でおのれが桜かな]これは?

お花見は、今週、来週良さそうですね。お花とも一期一会、お楽しみ下さいね。

3月16日(金) 春ですね~。美味しい魚の漬け。

3月に入ると、待ち構えていた様に春が一気にやって来ました。

この日曜日は、春のお彼岸の入り。

都内の、桜の開花も来週の予想ですが、花見で一杯は、もう少しかかりそうです。

さて、神港には、毎年、大山や宗玄の蔵元さんから、上等な酒粕が送られて来ます。

酒粕を使って、塩にした、サワラ、銀ダラ、生メカジキ、金メ、ホタテ貝などを漬けます。

人形町にある、魚久さんや、浜ノ院さんは、京都が元ですから、

西京味噌を使った、甘いものが主流です。

魚久さんは、西京味噌に粕を混ぜた床です。

浜ノ院さんは、浜町漬けと言う、江戸味噌を使ったのがあります。

ここのを食べなければ江戸味噌と言うのを知りませんでした。

甘味噌で、江戸時代は、60%がこの手前味噌だった様ですが、

熟成期間が短く塩が少ないので、持ちが悪いのと、

戦時中は信州味噌の3倍も米の量がかかるので、贅沢品という事で禁止になり、

今では横浜で一社だけこの味噌を作っていますが、

老舗店のドジョウ鍋や土手鍋の味噌は、江戸甘味噌だそうです。

魚漬けは奥が深くて楽しい作業です。どうぞ、神港でお楽しみ下さいね。

お彼岸の中日21日(祝)は、ランチをしていますよ。

写真は人形町の貴婦人の様な白蓮

3月8日(木)    お陰様で、開店7周年

啓蟄もすぎ、寒さと暖かさを織りなしながら、日毎に春の只中に入っていきます。

三浦三崎で、15年、マグロや地魚、こだわり野菜で、

お客様をお迎えしていた「神港」がご縁を頂いて日本橋浜町の明治座近くに開店して、

早いもので本日7周年を迎える事が出来ました。

これも、皆々様のお陰と、心から感謝いたしております。

私は、毎日、三浦の自宅から通勤し、以前三崎でお世話になった漁師さん、

釣り師さん、タコ漁師さん、こだわり野菜の農家さんらが、

届けてくれる新鮮なものを毎日持ってきます。

マグロは重いですから、三崎から直送です。

こちらにお店を出して、幸せだなぁ、と思うのは、お客様に本当に恵まれていることです。

これからも、神港に行くと実家とか、気の置けない友人の家にいるように、

ホッと出来て、元気が出るような店でありたいと思っておりますので

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

写真は、三崎時代のお客様から毎年この季節に送って頂く山形県鶴岡市の雛菓子です。

3月2日(金) 春の扉が開きました。臨時休業のお知らせ。

殊の外、寒かった冬でも青々と葉を茂らせる明日葉や、

顔を出すやあれよという間に、蕾が開いて花が咲いた蕗の薹。

3月に入ると一気に春が押し寄せてくるのですね。

さて、お雛祭りに欠かせないハマグリ。

3月はアサリも、赤貝、マテ貝、プリンとした牡蠣など、貝類が美味しい季節です。

子持ちのヤリイカも店では人気です。ヒラメも相変わらずとれています。

これから、鯛も美味しくなりますね。

心に優しく沿ってくれるあなた好みのお酒を右大臣よろしく早い春の宵をお楽しみ下さい。

3月3日(土)は、臨時休業です。又、よろしくお願い致します。

2月16日(金)     年に1度のランランランチ。

2月も半ばをすぎると、早朝に家を出る時、感ずるのは、空気から受ける季節の変化です。

気温は、まだまだ低いのですが、空気に含まれる海からの香りや、

梅、侘助、やっと顔を出した蕗の薹などが、放つ気が少しずつ空気を和らげているのでしょう。

さて、毎年、2月最後の日曜日は、店前の清洲橋通りをランナーが走る東京マラソンがあります。

今年は25日で、普段の日曜日には店はお休みですが、この日に限ってランチをします。

神港のランチは、片仮名で、楽しい気分を表した名前が付いています。

ウキウキ、ニコニコ、ワクワクと行った具合です。

マラソン時のランチは、その日だけの応援ランチなので、

嬉しく楽しく、身体が動き出しそうで、マラソンですから、

走るに掛けてランランランチにしました。

内容は、通常のウキウキごはんバージョンですが、

いつものワカメのお味噌汁が特別に野菜たっぷりマグロ汁になります。

毎年、この日は応援も辛い程、寒い日が多いのですが、

是非、声援の後はランチを召し上がって、お腹も気分も暖まって下さいね。

ただ、競技中は、前の通りは渡れませんから、

9時を過ぎたら、久松警察の方の歩道橋や成城石井の方に迂回する事になりますから、よろしくね。

ランランラン。

2月8日(金) 天日干しの幸福。臨時休業のお知らせ。

魚や野菜を網で干して乾燥させるのに、

今の時期くらい良く乾いて美味しくなる季節はありません。

神港では、開店当初から、鮪の醤油をベースに下味をつけた鮪の切り身を天日干しにして、

程よく乾いたらさっと焼いて供します。

これは、酒の肴でも、ご飯のおかずにも最高です。

カマス、あじ、イカ、えぼ鯛、鰯の目刺し、など、

生のままたべるより、余分な水分が抜けて味がギュッと濃縮されるので、本当に美味しいです。

今、店で煮物に使っている三浦のこだわり大根の天日干しの切り干しは、

そのまま食べても甘く美味しいです。

生シイタケは、なんと干す事によってV.Dが2倍になるのですって。

果物なども、より甘くなりお菓子の様。干すだけで、ミネラルが2割アップとか。

私は今、誘惑と日々戦ってあえなく負けているのは、お客様が送って下さる自家製の干し芋です。

目や手の届かないところに置かないといけません。お酒の後の甘味にちょっとご馳走しますね。

臨時休業のお知らせ。
2月11日(日).12日(月) 休み
2月16日(金) 夜の営業はお休み。どうぞよろしくお願いいたします。

写真は角の好文堂ギャラリー前の紅枝垂れ梅です。良い香り。

2月2日(金) ワカメ礼讃

去年の晩秋に種を付けた養殖ワカメが、寒中しっかりと成長し、

三浦の漁師さんが届けてくれました。

昨年は、暖冬のせいで天然も養殖も生育出来ず、

特に城ヶ島から相模湾沿いの所は、養殖が始まった以来の不作でした。

それでも東京湾側は、少し収穫できたようです。

アイゴが新芽を食べてしまう害も重なり今年の様子を漁師さん達は心配していましたが、

長い寒波の影響が、良い方に働き、1mを超えたところで、収穫が始まりました。

褐色の海の植物。韓国と日本を除いては余り食されず、

むしろ侵略的外来種として迷惑がられているワカメ。

残念なことに欧米人は、消化する酵素がなく食べられないのだそう。

神港では、良く水洗いしたワカメを熱湯にいれ

鮮やかな緑色になったものを味噌汁や酢の物、サラダでお出ししています。

磯の香りとシャキシャキとした歯ごたえは、今の季節の口悦ですね。

ワカメの茎もメカブもそれぞれ絶品の肴になります。

漁師さん、ありがとうございます。写真は、茹でる前と後のワカメです。

1月26日(金) たしなみの楽しみ

寒中とはいえ、大寒波襲来で東京も予報通りの雪景色。

交通網は大混乱で、ちょっと通勤も無理そうなので、私もお江戸泊まり。

さて、今日の題は、私がこの時期になると書架から出して読む、

素晴らしい本の中に書かれていることです。

それは今から30年以上も前に書かれた暮らしの手帖に連載されていた、

文化功労者でもあり、吉兆の創業者の湯木貞一さんが

日本料理の真髄を家庭料理に取り入れて欲しいと名物編集長の花森安治さんが企画した

[吉兆味ばなし]を本にしたものでそれは見事な本です。

テレビやスマホの画面で料理の作り方を観て作るのとは大違い。本を開く度に襟を正します。

何回も読んでもその度に心に沁みる言葉があり、

今回は、蕗の薹味噌を作るとき、料亭では時間をかけて味噌を練ってゆくのですが、

家庭でも時間のある時、日持ちする味噌を作るときなど

主婦はそのような気長に練ってゆくようなことを心底から楽しい事だと思えるようにならないと、と。

店で、八丁味噌と自家製の味噌を混ぜて、気長にとはいきませんが柚子味噌を作りました。

田楽の上にちょっと、香りと想いを載せて。

写真は今が盛りの三浦海岸の大根干しです。お元気にお過ごし下さいね。

***

寒いこの季節でも特に辛いのは、手足の指もかじかむ早朝でしょうか。

鎌倉建長寺の雲水さん達が裸足に草履、薄衣で三浦海岸駅に寒修行でいると、

思わず頭が下がります。心身を鍛える為、そういえば武道なども特に寒稽古や寒中水泳など今の時期ですね。

今年は、例年より寒さが厳しいのでしょうか、

いつもなら、蕗の薹が顔を出しているのを摘むのが楽しみなのですが、まだ地表に出ていません。

陽当たりの良いところの餅草(ヨモギ)も摘むのが可哀想なほど。もう少しお楽しみは先送り。

立春過ぎに香り高い蕗の薹味噌をご馳走しますね。

写真はヒラメの中骨を干している様子。飴色になるまで寒風にさらします。