寒中とはいえ、大寒波襲来で東京も予報通りの雪景色。
交通網は大混乱で、ちょっと通勤も無理そうなので、私もお江戸泊まり。
さて、今日の題は、私がこの時期になると書架から出して読む、
素晴らしい本の中に書かれていることです。
それは今から30年以上も前に書かれた暮らしの手帖に連載されていた、
文化功労者でもあり、吉兆の創業者の湯木貞一さんが
日本料理の真髄を家庭料理に取り入れて欲しいと名物編集長の花森安治さんが企画した
[吉兆味ばなし]を本にしたものでそれは見事な本です。
テレビやスマホの画面で料理の作り方を観て作るのとは大違い。本を開く度に襟を正します。
何回も読んでもその度に心に沁みる言葉があり、
今回は、蕗の薹味噌を作るとき、料亭では時間をかけて味噌を練ってゆくのですが、
家庭でも時間のある時、日持ちする味噌を作るときなど
主婦はそのような気長に練ってゆくようなことを心底から楽しい事だと思えるようにならないと、と。
店で、八丁味噌と自家製の味噌を混ぜて、気長にとはいきませんが柚子味噌を作りました。
田楽の上にちょっと、香りと想いを載せて。
写真は今が盛りの三浦海岸の大根干しです。お元気にお過ごし下さいね。
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寒いこの季節でも特に辛いのは、手足の指もかじかむ早朝でしょうか。
鎌倉建長寺の雲水さん達が裸足に草履、薄衣で三浦海岸駅に寒修行でいると、
思わず頭が下がります。心身を鍛える為、そういえば武道なども特に寒稽古や寒中水泳など今の時期ですね。
今年は、例年より寒さが厳しいのでしょうか、
いつもなら、蕗の薹が顔を出しているのを摘むのが楽しみなのですが、まだ地表に出ていません。
陽当たりの良いところの餅草(ヨモギ)も摘むのが可哀想なほど。もう少しお楽しみは先送り。
立春過ぎに香り高い蕗の薹味噌をご馳走しますね。
写真はヒラメの中骨を干している様子。飴色になるまで寒風にさらします。